量子技術高等教育拠点ウェブサイトの開設にあたって
高い専門性と広い視野をもつ人材育成で、将来の量子技術に貢献したい
量子技術は、21世紀において期待されている技術革新の中でも、技術の原理に関わる革新であり、私たちの社会に大きなインパクトをもたらすものと考えられています。量子技術は原理的な技術革新をもたらすことから、今後量子技術が大きく発展するには、量子科学と技術のそれぞれの発展と、これらの融合的発展が不可欠です。量子技術高等教育拠点では、量子技術の発展を支える高い専門性と広い視野をもった人材の育成を目指します。
しかしながら、日本においてはこの分野の人材育成が非常に遅れており、教育人材も大幅に不足しています。量子技術高等教育拠点では、大学が共同で人材育成の仕組みをつくり、教育資材を共有・利用することで効率的に広く質の高い教育を実現することを目指しています。目的に合わせて、学びやすい教育プログラムを参加機関に向けて提供することや、参加機関における教育の効率化に資するデータベースを提供することも目標の一つです。また、国立研究機関や産業界とも協力して、広い量子技術分野の様々な側面に対して幅の広い人材育成を目指します。現在は、東京大学、名古屋大学、九州大学、慶應義塾大学、国立情報学研究所の5機関が参加しており、将来は、大学・大学院・高専を中心に共同開発や共同利用を広く全国へ広げていく予定です。
量子技術の学問としての特徴は、物理学、数学、情報科学などの理学の諸分野から、計算機工学、通信工学、デバイス工学などの工学の諸分野まで広大な分野にわたることがあげられます。量子技術に関わる様々な科目の各学部学科への融合と、また将来に向けた量子科学技術を中心とした学科像などが見通せるよう、標準カリキュラムの開発を行っています。今後はモデルとして公開したカリキュラムに、みなさまからのフィードバックをいただきながら、アップデートして行くことを予定しています。
根本香絵 教授 プロフィール
量子技術高等教育拠点 代表
国立情報学研究所 量子情報国際研究センター長
専門は理論物理学、量子計算・通信、量子計算機アーキテクチャ、量子計測。英国物理学会および米国物理学会フェロー、量子ICTフォーラム副代表理事。